語学学習

【留学か独学か】留学のメリットとリスク(留学しなくても言語学習は十分可能)

私は今ロシア語を学んでおり、モスクワへの留学を考えていたのですが、戦争が始まったことで断念しました。このまま日本で勉強を続けていくつもりですが、やはり留学で実践を積まないと厳しいのでは?と思い始めています。

こんな質問を頂いたので回答します。

質問者の方はロシア語学習者ですが、ここではすべての言語学習一般に言えることを解説していきます。

私自身、これまで3回別々の国に留学した経験を持ち、今では4言語操るマルチリンガルですので、私の体験が留学をするかどうか悩んでいる全ての人の参考になれば嬉しいです。

本記事の内容

  • 留学のメリットとデメリット
  • 留学なし(日本国内)で言語を学ぶコツ
  • 会話はやはりネイティブとの実践が最短の近道

もくじ

留学のメリット

我々の「当たり前」をぶち壊す、海外の「当たり前」

我々は日本人ですから、日本の「当たり前」の中で過ごしています。

でも、我々が考えている「当たり前」は、海外では通じないことが多々あります。

例えば、日本では、どこかレストランや居酒屋に入れば、店員さんが元気よく迎えてくれます。

席まで丁寧に案内してくれますし、注文だって呼べばすぐに来てくれます。

日本では、「お客様は神様」という風潮がまだまだ強いので、基本的に日本の店員さんは入店から退出まで誠心誠意お客様であるあなたに尽くしてくれます。

それは我々にとって「当たり前」のことだと思いますが、海外では全く違います

海外では、基本的にお客様と店員は対等の関係です。

海外で、あなたがどこかその辺のレストランに入っても、店員さんはすぐに迎えてくれないかもしれません。

入口でぼーと待っていたら、「そんなところで何してるの?」と言わんばかりに、周りの目線が気になることもあります。

席に座っても、すぐに店員さんは来てくれないかもしれません。

時には、自分から立って店員を探し、注文を取ることなんてしばしばです。

無事に注文ができても、あとから何か追加で頼みたいことがあって店員さんを呼んでも、店員さんは中々気づいてくれません。

忙しいから無視されることも普通です。

そんな感じで、日本とは雰囲気もレベルも段違いな店員さんの態度ですが、その国でチップを払う文化があれば、当然払う必要があります。

「ろくなサービスも受けていないのにチップなんて払えるか!」と思われるかもしれませんが、もしあなたがそのレストランも今後使うとしたら払っておいたほうが無難でしょう。

払わないと、次回からはもっとひどい扱いを受けてしまうかもしれません。

上に挙げたのはほんの一例ですが、海外では、ただ外で食事を取るだけで、我々の「当たり前」を粉々に打ち壊す体験をすることになります。

いわゆるカルチャーショックですが、この体験は、今後あなたが海外で働きたいと思うのなら必要な経験となるでしょう。

このような体験は、やはり自ら現地に行かないと中々味わえないものです。

留学という「荒療治」で言語を磨く

留学を志す目的は人それぞれだと思いますが、「その国の言語を学びたい」という理由を持っている人がほとんどだと思います。

言語を学ぶことは、本当に難しいことです。

並大抵の覚悟や努力では、マスターするどころか、その国の人と日常会話を行うことすら困難です。

そんな難しい言語の勉強ですから、留学という「荒療治」でなんとかしてしまうのは手っ取り早い方法です。

留学は、暮らし慣れた日本と親元を離れて、言語も文化も人種も全く違う国に一人で行って、一定期間、そこで一人の力で生き抜いていかなければいけません。

そこで生きるためには、英語またはその国の言語を習得することは絶対必要です

「必要は発明の母」という言葉がありますが、人間、本当に必要に迫られないと中々できないことも多いので、「生きる」という理由は、言語学習において一番よい理由かもしれません。

おおげさに聞こえるかもしれませんが、私が初めて留学したロシアでは、まさに頼れるのは自分だけという状況でした。

生き抜くために、それこそ地獄のような苦しみの中で、ロシア語を覚えました必要に駆留学は。

留学は「荒療治」ですが、言語力を本当に伸ばしたいと思っている人にとっては、大きな起爆剤となります。

出会い

留学先で知り合う人との出会いは、あなたのこれからの人生を彩る大きな要素です。

同じように留学をしている他国の人であったり、サークルの仲間だったり、道端やレストラン等で知り合った人など、その相手はさまざまです。

あなたの将来にとって大事な人との出会いも、留学中に起こるかもしれません。

ちなみに、私の人生のパートナーとは、留学時代に知り合いました。留学しなければその人と会うことはなかったと考えると感慨深いものがあります。

「留学」は、あなたの今後の人生を大きく変える可能性を秘めているので、機会があれば積極的に挑戦してみるといいでしょう。

留学のデメリット

費用が高額

留学には大きなお金が動きます。

最近は、大学同士の交換留学制度等により、学費を援助してくれる制度がありますが、それでも住居費等留学にかかる費用はばかになりません。

ましてや、大学等の制度を使わず、私費で留学する場合は、ある程度の経済的基盤がなければ、留学費用をまかなうことは困難です。

私自身、家があまり裕福ではなく、私費留学などとてもできる経済的余裕はなかったので、その国が実施している国費留学プログラムを利用したものです。

夏にはGが大量に蠢く劣悪な環境の寮にぶち込まれ、寮費は月額100円(笑)でした。

精神的負担が大きい

留学は、自分のこれまでの生活環境や習慣がガラリと変わる、人生の一大イベントの一つです。

すべての人がその急激な環境の変化に適応できるわけではなく、辛くて精神的にまいってしまい、留学期間の途中で帰国してしまう人もいます。

そうなってしまうと、せっかく留学のために費やした準備の時間や労力、お金が無駄になってしまうリスクもあるわけです。

日本食が気軽に食べれない地域に行くと余計に辛いものです。日本食へのアクセスは、日本人外交官の死活問題です。

これまで述べてきたとおり、留学には大きなメリットがありますが、自分の精神に大きな負担がかかるイベントだということも理解し、「自分は本当に留学をしたいのだろうか」「ただ、「留学」という響きに憧れているだけではないだろうか」「慣れ親しんだ日本を離れて、海外で暮らす覚悟はできているのだろうか」と自問自答してみるのが大事です。

外務省の在外研修で海外に旅立った外交官のたまごたちの中でさえも、海外の生活に合わずに辞めてしまう人もいます。

留学しないという選択肢もあり

今は、インターネットを活用したオンライン学習も非常に充実しており、純粋に言語力を上げたいという人の中には、時間や費用がかかる留学を選択しないで、あえて日本国内での勉強を選択する人もいます。

私の知り合いに、英語圏への留学期間はトータルで3カ月しかないにもかかわらず、日本で利用できるスクールや学習ツールを活用して勉強し、立派に英語通訳を務めている人もいます。

さらに、日本語を学ぶロシア人の知り合いに、日本にこれまで来たことがないにもかかわらず、日本人のように日本語を操る人もいます(アニメを見て学習したそうです)。

言語を学びたいと思う動機やタイミングは人それぞれです。

中学や高校のときから英語に興味があって、学生のときからバリバリ勉強する人もいますし、社会人になってから言語学習に奮起する人もいます。

特に社会人は、仕事もある中、中々留学をする機会というのはめぐってきません。

そういう人は隙間時間等利用して、日本国内で勉強するしかないわけですが、今の時代、日本国内でも十分に言語学習が可能です。

むしろ、ある程度のレベルまで行くとひらすら語彙を伸ばす=独学が主流な勉強法になる気がします。

以下、私がこれまで感じた、正しい言語の習得手順についてお話していきます。

まずは文法から

外国人がネイティヴの子供のように言語を習得することは不可能です。

外国人には外国人なりの、正しい言語の習得方法があります。

まずは文法を勉強しましょう。

基本的な文法書を購入し、文字と発音、基本的な文法と単語を覚えることが先決です。

特に、発音は語学学習のすべての分野の要なので、必ず正しい発音を覚えるようにしてください

youtubeでもなんでも、今はググれば、どんなマイナーな言語であってもネイティブの音声を聞くことは可能です。

これらの作業は、自分の中に、これから勉強する言語の「基本構造」を形成するために必要な作業です。

この基本構造を形成し終えたら、あとはそこに応用の文法や単語、表現、熟語等を肉付けしていくというイメージです。

ちなみに、どの文法書を購入するかについては、アマゾンや楽天で上位に入る基本書を買って、それを一冊隅から隅までしっかりやれば十分です。

一番やってはいけないことは、複数冊購入して、それぞれ一回読んで満足することです。

たぶんほとんど身についていません。

お金がかかるだけでなく超非効率なので止めましょう。

語彙力をあげる

その国のネイティヴと会話できるぐらいまでのレベルに達するには、ある程度の語彙と基本的な表現を覚える必要があります。

基本的に文法書に書かれているだけの内容では得られる語彙数が少ないので、補強書として、オンラインショップで上位評価を得ている単語帳を一冊購入し、ひたすら読み込みましょう。

インターネットを活用

さすがに本だけ読んで、他言語を聞き取れるようにはなりません。

今の時代、インターネットのおかげで、言語学習が本当にやりやすくなりました。

特に、youtubeでは無料で言語学習発信をしているyoutuberさんがたくさんいますから、使わない手はないです。

マイナーな言語であっても、ニュース等たいていのコンテンツはyoutube上で見つかります。

ここで気をつけてほしいのは、音声は、ただ流し聞きしているだけでは絶対に身に付きません。

我々は外国人なので、ネイティブの子供のように、自然と身についたりしません。

必ずトランスクリプトや字幕がついたコンテンツや教材を選んで学習するようにしましょう。

おすすめは、みんな大好き「TED」を活用することです。

これは、英語に限らず、あらゆる言語の翻訳が付いていますので、テキストベースでじっくり精聴・精読できるので、私も愛用しています。

言語学習のコツは能動的に学習することです

聞き流しは、大人になってしまったあなたにとっては、最低に効率の悪い学習方法ですから、注意してください。

会話力の上げ方

言語学習の独学(お金をかけずに学習)は、文法を学んだり、語彙力を上げるだけなら、上記で述べたとおりいくらでも可能です。

ただ、会話ばかりは独学では中々難しいものがあります

その国の人としゃべる機会を確保することが一番手っ取り早い会話力の上げ方だからです。

会話力は、ただ単に単語や表現を知っているだけでなく、その国の人が話す言語のリズムや話し方に慣れる必要もあるので机上の勉強だけではどうしようもないときがあります。

ただ、レッスンを取る経済的な余裕がなかったり、外国の人といきなり話すのは勇気が出ないという人もたくさんいると思います。

私自身、超人見知りなので、引きこもって自由気ままに勉強するのが好きです(←こんな性格で、なんで外交官なんてやってたのか私自身疑問です)

独学大好きな私がよくやるのは、字幕付きの音声コンテンツを自分で見繕い、それを聞き込み、読み込み、シャドーイングを繰り返すことです。

これを根気よく継続して行えば、ある程度のレベルまでは行くことはできるでしょう。

ほかにも、自分の頭の中で思い浮かべた単語や表現をそのまま翻訳してみるのもいいでしょう。

それをパッと言えるぐらいにならないと、会話を成立させるのは厳しいですから。

一人二役で会話の状況を想像し、声に出して練習するのもいいでしょう。

とはいっても、会話はやはり実践

文法や語彙は、自分でいくらでも上げることができます。

しかし、やはり会話力を最短で上げたいのなら、やはりネイティブとの会話の実践が一番早いです。

ネイティブと話す時、我々は必ず一定の緊張感を感じますし、うまく相手の言っていることが聞き取れなかったり、自分の言いたいことを言えなかったりすると、悔しさや恥ずかしさを感じると思います。

それらは、すべてあなたの言語を上げるためのトリガーとなりますし、独学だけでは得難いものです。

あなたがもし、時間と経済的余裕、そして熱意があるのなら、オンライン授業を取ることをおすすめします。

今は「オンライン」「授業」とグーグルで検索すれば、いくらでもオンライン授業のアテは出てきますし、正しいスクールや会社を選べば費用も最小限で済みます。

「文法も終え、発音を正しく学習し、単語もある程度覚えた、でもスムーズな会話ができない!」という人は、オンライン授業を利用することも検討してみてください。

費用はかかりますが、少なくとも、留学するよりは圧倒的に安く済むでしょう。

英会話ならCambly

英会話に慣れたいなら、Camblyがおすすめです。

このアプリは、私がまだ外務省で働いているときに、同僚から教えてもらったものですが、ネイティブと隙間時間にどこでも会話ができ、かつ費用も最小限に抑えられることから、愛用しています。

ぜひ試してみてください↓

【Cambly(キャンブリー)】

以上、留学のメリットと言語学習の独学について、私の体験を元にお話させていただきました。

結局、言語を習得できるかどうかは、あなたの忍耐と継続が要です。

  • この記事を書いた人

M

元外交官【経歴】語学留学から帰国後慌てて職探し ▶︎ 外務省入省 ▶︎ 本省→在外→本省→退職 ▶︎ 培った言語を活かして翻訳、言語教師 ▶︎ 2児の父 ● マルチリンガル(4言語) ● 公務員働き方改革を心から願う(国会待機消滅しろ)

-語学学習